「第1回 医療に活かせ!大田区のものづくりツアー」開催
日本医療機器協会の広報誌に掲載されました。
「第1回 医療に活かせ!大田区のものづくりツアー」は6月14日(金)の午後1時から7時30分にわたって大田区産業プラザにおいて開催された。
このイベントは公益財団法人大田区産業振興協会からの日本医療機器協会への申し出によって実現したマッチングツアーの企画で、製販企業の当協会会員企業が大田区の展示会を視察、大田区ものづくり企業との連携の可能性を探る催しである。このマッチングが成立した時には、事業化に向けての公的資金獲得を含め、大田区の担当コーディネータがサポートを行うというもので、イベントは当協会の製販企業と大田区内のものづくり企業間と連携する太いパイプ作りに向けた最初の一歩と言える。
この日、当協会の参加者35名は午前11時に医科器械会館に集合し、マイクロバスで会場の大田区産業プラザに向かった。昼食後、同プラザの財団会議室において午後1時から開催された。まず、公益財団法人大田区産業振興協会の伊東博巳専務理事兼医工連携支援室長が、「本日はようこそお出でいただきました。大田区はご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、小さな工場の集まっている街ということで、西日本では東大阪市が有名ですが、東日本では大田区が工場の街としては名前が売れています。
統計によりますと全部で4 , 000軒の工場のうちの半数は従業員が3人以下という小さな規模の工場が多く、全体の8割が10人未満です。今日は、1階で開催している展示会に101社が出店していますが、そのうちの7割が従業員10人未満です。今日の展示会はそうした小さな工場の参加がありますが、わざわざ工場を休まなければならなくなりますので、展示の日程も1日しかとっていません。なかなか普段見られない工場の方が展示していますので、ぜひ丁寧にご覧になってください。狭く小さな範囲の技術ですが、その技術を深く掘り下げていますから、技術的には非常に高度なものになっています。自分の持っていない技術は高い加工技術を持った隣の工場と連携して、そちらに頼むという仕事をしています。埋立地には、メッキの会社や鋳造、内陸部は製作を中心にした精密加工といった企業があり、河口の上流部分から下流部分までがワンセットでそろっている地域です。大手企業や中堅企業のみなさんからも開発や試作のお声をかけていただき、活用していただいています。
最近では産業の空洞化の様相も濃く、海外の工場へシフトしている傾向にあり、仕事自体が少なくなっていますから、自分たちで新しいことに取り組んでいかなければなりません。そういう中で目指しているのが医療関係で、これは大量生産には向かない技術ですから、非常に高い技術を持ち、微細な加工が得意な大田区の工場としては、医療関係はその技術を生かせる道だと期待しています。ぜひ文京区の本郷・湯島の皆さんと協力して、一緒に仕事をし、ビジネスにしていければ良いかと思います。
私どもの産業振興協会もそういった意味で医工連携の企業をサポートしていきたいと思っていますので、今日は皆様に直に工場や展示を見ていただいて興味をもたれるところがありましたら、ぜひお声掛けいただきたいと思います。また"受発注サポート"を行っていまして日本全国を対象に、こういう加工ができないかというものに対して専門の相談員を6名おいていますので、ご活用ください」と開会のあいさつを行った。
続いて、当協会の今村清理事長が、「ご招待ありがとうございます。今、お話があった通り大田区には小さな企業がたくさんありますが、私たちの医療機器というものも多品種少量生産の性格の製品ですから、今までやってきた協力会社が後継者がいなくなり、だんだんやめていく傾向にあります。そういう点では新しく協力していただけるところを見つけなければならないと感じています。今お話を聞いていますと大田区の3人とか4人といった少人数でやっていらっしゃるところでは、われわれの多品種少量のうちの"小量"の部分を手掛けていただけるのではないかという期待を抱きました。
医療機器の良いところはモノを作って製品になった場合は、次から次へと新製品が変わっていく産業とは違い、寿命が長いのです。そうしたメリットがある反面、私どもには薬事法という法律がありますので、なかなか新規参入が難しいのですが、当協会にはそうした問題をサポートをする活動もありますので、相談していただいてもいいかと思います。それから製販業を持っていますので、販売の場合も、われわれに言ってもらえればどのルートでの販売ができるかをすぐに探せます。そのようなことでわれわれは、大田区のものづくり企業と連携・マッチングをして、成功できたら良いと思っています。私たちは業界として初めての参加ですから、一つでも二つでも皆さんと連携できるものを見つけ、協力いただいて、ぜひ一社でも一品でも成功の品目を作っていきたいと思います。ご協力をよろしくお願いします」と挨拶し、次いで、事務局が趣旨・内容説明を行って、その後、1時20分から、当協会の参加者は、産業プラザ1階の大展示ホールで開催中の「第6回大田区加工技術展示商談会」を視察、連携の可能性のある大田区企業のブースを熱心に見て回った。
午後3時からはマイクロバスに乗車し、大田区大森南四丁目の工場アパート「テクノFRONT 森ヶ崎」内の「大田区医工連携支援センター」を視察した。この「大田区医工連携支援センター」は、医療と製造業の関係者が交流し情報交換するための東京労災病院との共同運営の施設で、医療現場のニーズを集めて区内製造業の高度な加工技術を形にし、新しい医療機器・器具の開発を進めており、製造業の新たな成長市場として注目される医療機器分野に区内中小企業の新規参入を促すのを狙いにしている。
この医工連携支援センターのオフィスの見学後、同じ工場アパートに入居している㈱iMott や㈱川渕機械技術研究所などを訪問し、先端的な技術のレクチャーに参加者からは多くの質問が飛び交った。この訪問後、再び大田区産業プラザへ戻り、5時30分から開催された「鉄は熱いうちに打て! 大田区企業との交流会」に参加した。この交流会は、伊東氏の乾杯の音頭で始まり、歓談に入った。ここで参加者は自社の紹介など熱心な情報交換を行い、今村理事長の中締めで、両地区の研究開発実施の可能性を探る、最初の試みである交流会は幕を閉じた。
日本医療機器協会広報 2013.7 No.214掲載
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